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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第7章 記念すべき四月
「っ……なに?!」
急いで椅子から立ち上がった私が、窓に駆け寄ろうとすると、すぐ隣に居たイルトに腕を引っ張られる。
「行くな!……っあぶねえぞ!」
「はあ?!」
「……。」
外からも中からも沢山の悲鳴が一瞬にしてあがる。
そこで咄嗟に理解する。こんな時間から、こんな場所で花火なんて上がるはずがない。
火が見えないから──確信はないけど……これは、何かが爆発した音だと。
「なにこれ!どういうこと?!火が出てる!」
「おい、マネヒョン!消防署に電話しねえとっ!!」
「あっ、……ああ!」
走り回る人に叫ぶ女、慌てる男。
背丈も年齢も違う人物達が入り交じるこの食堂だけど共通して言えるのは、今のみんなは焦りが半端じゃない。
ここで冷静なのは、何度も生死の境をさ迷ったことがある私と──、まるで全部予想出来ていたかの様なポーカーフェイスをしている五人のみだった。