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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第7章 記念すべき四月
もう暗黙の了解で、彼達の前だけど私もバンバン煙草を吸うし、それに対して女なのに……とかは一切言われない。
「どうして今日遅れたの?」
「アリーが話しかけてくるなんて珍しいわね。」
「そうか?時間厳守のヌナが遅れるって珍しいと思って。」
「まさか、ヒョンに無茶苦茶に抱かれ「違うから。」
朝からド下ネタを降ってくる童顔王子は私の答えを聞いて、面白くなさそうに『へえ』なんて言ってから、スマホに目を落とす。
「──何か有った?」
やっぱり鋭いんだよね、ジェジュンって。こいつにだけは隠し事できなさそうだな、なんて思ったりもした。
「いや、何もないよ。」
「……嘘でしょー!」
「はあ、うるさいジュン。何もないって。」
「──昨日、あんな話をした矢先に俺達に隠し事かよ」
「だから何も隠してないわよ。」
──というか、何て言ったら良いの?報道はされてないけどこんな事件が有ったらしいよ、とか?
そんな事、言えるはずないじゃん。
「……アンタら、今日は食べてる量少ないね。いつもバカみたいな量をがっついてるくせに」
「昨日、食事会だったんだよ。」
「ああ、お父さんがどうとか言ってたの?」
「そう。死ぬほど食って飲まされたから、なんか腹減ってねえんじゃない?皆。」
「本当、幼馴染みって感じの仲良しさだね。親とメンバーとって」
「……まあな。」
私も可笑しいけど、こいつ達もいつもと違う。直感的にそんな事を思った。
ジッと全員の目を見つめると、タイミング良く揃いも揃って目が合う。
「…どーしたの。」
「いやっ、あたしに何か有ったって言うわりにアンタらも何か有ったんじゃないのかなって」
「何もない。普通だろ。」
「──それなら良いけどさ。」
まさか本当に破産するのかな?いや、破産すると分かっててアメックスのセンチュリオンカードは出さないか……。
煙草を乱暴に潰した時──
聞き間違えじゃなければ、窓の外でまるで花火の打ちあがる様な爆音がした。