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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第8章 近寄る魔の手

『只今、ソウル特別区江南BNエンターテイメント前からの生中継です!』

『先程20分前に、この公道で爆発が有りました。』

『爆発物は放置されていたスーツケースの中に仕込まれていたという情報です。』


『警察は取り急ぎスーツケースや置いていったと思われる人物の調査を進めていますが、まだ詳細や犯人に近づく手がかりは見つかっておりません』

『幸いにも、死者は居なく、観光客のフィリピン人女性二人組が足首に軽い怪我、BNエンターテイメント前に居た警備員二人が腰や足に傷を負うなどの軽傷です。』


知的そうな女性がマイクを片手に必死に現場の情報を伝えている様子を、警察に集められた私達は事務所で見ていた。

勿論、聞かれることと云うのはここ最近変な人を見なかったか、とか。あのスーツケースに見覚えは?とか。

だけど、ここは芸能事務所で聞き込み相手の多くは芸能人や芸能人と密に関わりのある人達ばかりだ。

そりゃ変な人なんか腐るほど見てるし、毎日FBKのことを見に来ているファンの人だって何人も居る。

「……テヒョンからだ」

スマホにはソン・テヒョンという文字。メンバーの前で彼と電話越しに話すのは初めてかもしれない。

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