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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第9章 見た事のない世界
「ったく良い加減にしろや。朝からあんなにカメラ置かれちゃマトモにコンビニもカフェも行けねえわ、窓から外見てタバコも吸えねえじゃねえかよ」
朝から練習室でキレにキレまくっているのはイルト。というか、こんな喋り方をするのはイルトしかいない。
ジェジュンもジュンもキレたとしても、もう少し丁寧な話し方だ。勿論アリーとミンホも同様。コイツだけが……ぶちキレた時のテヒョンと同じ様な話し方をする。
もう既に三回は通しでの練習も終わった。
ミンホはどうやらスタンドマイクをくるりと回すパートが苦手らしく、自称『スタンドの王子』であるジュンに丁寧に教えてもらっている。
出社前はどうなる事かと思ったけど──皆、プロとしての意識が根付いてきてるんだろう。練習室に入ると、曲が流れると……顔が変わりウンとセクシーになる。
こういう所が会長とサファイアが一目置いてる理由なのかもしれない。
「なあヌナ」
「どうしたのアリー」
「ここのさ『麻薬の様に狂った君の腰を持ち』の部分なんだけど」
「うん。」
「生放送の時にさ、PVとの違いを出したいから……敢えて腰揺らさずにスタンドマイクを撫でようと思ってるんだけどどう思う?カメナシさん意識しすぎかな?」
「いやっ良いんじゃない?現にそういうワンポイントの仕草で悲鳴が上がってたのも確かだしね。腰を揺らすって他のグループでも定番化してるもんね」
「だよなあ、じゃあそうしようかな」
歌詞カードに赤いラインを引いて納得した様に、少しルンルンでジェジュンとイルトが居る自作の喫煙コーナーへ駆けていく彼は、やっぱり彼なりに色々考えているんだろう。
私用の歌詞カードをふいに見つめた。
共同作詞である、この『DEEP NIGHT』は中々きわどい歌詞だ。
放送禁止にならない様に直接的な単語は入れていないけど、韓国という保守的な国では速攻で話題になるに違いない。
「麻薬の様に狂った君の腰を持ち」
「僕は今日も深くこの夜に堕ちていく」
「Listen to my deep beat」
「嫌いじゃないだろ」
「嫌いになんてなれっこないんだろ」