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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第9章 見た事のない世界
ファン層の女の子が想像するのはどういうシーンなんだろう。
ライブハウスとかクラブの様な暗い場所で、ソファーの上に寝転がる彼達の上に跨る自分?
愛されていない事を分かっていながらも、その快感に堕ちていく女性像?
「……麻薬とクラブか。」
タイムリー過ぎる話題に、苦笑いを浮かべたその瞬間。まるで頭の中で小さな花火が打ち上がったかの様に、瞳孔が開いた。
「──そうじゃん、それじゃん」
携帯もタバコも歌詞カードもそのままにして、急に立ちあがる私を不思議そうな目で見るメンバーたち。
「ヌナ?どうしたの?」
「あたしKBLOCKの練習室行ってくる」
「はあ?」
「居るよね?今日は」
「まあカムバック前だし居るとは思うけど……何でKBLOCK?」
麻薬・女・クラブと言えばHIPHOPだ。
となれば──そこのジャンルに詳しい彼達に聞くのが一番だろう。
「いやっ、色々アドバイスを貰いたくてっ」
「何のアドバイス?」
珍しく突っかかってくるジュンを不思議に思いながらも、最後は強行突破だ。
『十分で帰ってくるから、それまで休憩してて!』と言い残してから、私は急いで上の階にある練習室へと向かった。