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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第10章 子育てはエゴイズム

「ちょ……ちょっ……」
急にドモにりだした私を不思議そうに見つめる五人。
喉なんて乾いていなかった筈なのに、無意味に烏龍茶を全部飲み干すと『ワケ分かんねえ』なんて言いたげな顔をしたイルトが、無言でついでくれた。
「あのねっ、私ねっ」
「なんだ?まさか、ハンソン兄弟と思わしきヤツ達が入ってた部屋でヤったのかよ」
ほら、私は重大な勘違いをしていたんだ。
イルトはちゃんと『思わしき』と言っている。
──つまり、あの場に彼達が来たのは私が来ていると云う情報と、ハンソン兄弟と思わしき人達が来ているという情報が重なり合ったからなのだろう。
私はてっきり……
表の世界の人間は知らなくても、神宮会とか新家といった裏の世界の人達はハンソン兄弟の情報をほぼ全部掴んでいると思っていた。
顔も体型も話し方もクドイ仕草も──。でも、それが"勘違い"だったってワケだ。
「私ね、ハンソン兄弟のお兄ちゃんと──喋った、と『思う』の」
ふーっと息を吐きながら出した言葉は、今の私が話せる精一杯の言葉だった。

