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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第11章 重要参考人の貴婦人様

「へえ。……で、お前が重要参考人ってか」
「はっ、はいっ!」
三味線かな?琴かな?音楽に鈍い私はこれが和楽器である事は分かるけども、どの楽器なのかは分からない。
一つ言えるとしたら、全室個室で部屋の中に小さい滝が流れている様な──昔のドラマに出てくる政府ご用達っぽい日本の良さを全面的に出した料亭にピッタリの音楽という事だろう。
イルトの部屋に集まって、衝撃の話しを皆にした日から今日で丸一週間が経った。
韓国にもこんな所が有るんだ、という事実にも驚きだけども、それ以上に今の私には目の前で真顔で日本酒を飲んでいるテヒョンが怖くて仕方ない。
「おめえは、自分が帝国夫人だって事をしっかり分かってんのか?」
「はい。」
「それを分かってての、あの行動で──今日の"警察署での聴取四間事件"を引き起こしたワケか」
「……はい。」
──あの日、その話しをしたメンバー達は驚くというより呆気にとられた表情をしていた。
そして各自が自分のお父さんに急いで電話をし、その事実を伝えていたのは言う間でも無い。
ティーや運転手さんのウソのパワーも有って、騙し通せると思ったけども。
私は帝国やテヒョンの力を見くびり過ぎていたみたい。
一週間目の今日、どこからかその話しが警察に回り……
警察からテヒョンに連絡がいき……
韓国にある"この事件の捜査本部"で、まるで被疑者の様な扱いを受ける質問攻めの約束の時間、10分前まで私は自宅でこっぴどくテヒョンに怒られていたのだ。

