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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第13章 夢の大舞台
「ディープナイトも良いけど、このセカンド・ラブも良いね。」
「ドンさんにそう言って頂けて光栄です。」
「聞いたよ、作詞者の名前のFBK with RSっていうのは RISA SON の略なんだって?ってことはこの、作詞にも協力してあげたんでしょ?」
UCCもどきのコーヒーを飲みながら、そう話しかけている彼だけど目は一切ステージから離していない。
彼らがおしっこを漏らしても不思議じゃないくらい、目の前の五人を見つめていた。──彼に認めて貰えたら、FBKは芸能界で生きやすくなる、それは間違いないんだ。
「愛してくれなんて言ってないし、言わないの。二番でいいの。だけどどうしてなんだろう、私は貴方の事を考えて今日も強いフリして枕を濡らします……か」
「サビを棒読みで読むの止めてもらっていいですか?恥ずかしいです。」
「ははっ、ごめんごめん。……この、部分が本当に好きでね。」
「──。」
「ここは誰が書いたの?」
「イルトです。」
「へえ、あいつが。」
「噂に色々聞いてたから、もっとゴリゴリの歌書くタイプだと思ったら──こんな繊細な女心の歌詞なんて。」
「ちょっと意外ですね。──いや、かなり意外だ。」
『ヌナのこと思うと歌詞がスラスラ出てきたわ』なんてネタバラシされた時なんか、ガラにもなくドキッとしてしまい瞳を直視出来なかった。