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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第13章 夢の大舞台

「ああいうイケイケな子達が、切ない女心を歌うっていうギャップはとても面白いよ。」

「左に札束、右に女。なんていうMVも歌詞もK-POPファンの子達は、大体聞き飽きてしまってるからね。」

「これからだ!という時に、セカンドラブの歌詞を付けるのは勝負だったと思うけど──いやあ、BNはこの勝負に勝ちにきたな。という印象だよ」


「……ありがとう、ございますっ。」

ため息をつきそうになって、息を吸った。

私も努力をしたし色々と考え込んだけど、彼達の方がもっとしんどかったに違いない。

家庭の事情やリーダーの脱退話、そして未だに捕まっていないハンソン兄弟。

全てが深く複雑で、一筋縄では解決出来そうもない話だ。


──だけど、彼らは夢を諦めずに今もこうしてステージに立っている。

最高のモノを魅せようと、彼らなりに努力をし立て直して……いや、立ち直ってもう一度ゼロからこのMAフェスの為に色々と詰めてきた。


「──よくやったよ。」

呟いた日本語を理解出来なかったドンさんだけど、私の表情を見て何かを感じとったのか優しく微笑み返してくれた。

元をたどれば、私がFBKにここまで必死にならなかったら初めての麻薬体験もハンソン兄弟との接触も有り得なかっただろう。

それは私の旦那さんが言ってた通りだ。


でも、必死になれたからこそ今ここで彼らの成長を──この目で見れている。

そりゃあ、出る言葉は労いの言葉で当たり前。
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