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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第14章 信用は危険への階段

さすが私の愛する人、3コール目で電話に出てくれた。
事情を説明する時、いつもの彼らしく相づちや文句を言わず一切喋らない。だから時々聞いているか不安になるけれど、きっと彼は聞いている。
いつもそうだから。
「……ってことなの。だから……行こうと思う。」
「──言い出したら聞かないのがお前だからな。」
ため息が私の耳に入った。
だけど呆れているため息じゃないんたな、もう苦笑いとかそういったジャンルのもんだろう。
「でも今回は俺がお前の側に居れる。だから別に良いんじゃねえの」
「ってことは!」
「丁度、会議もまとまった所だから今からホールまで送ってもらう。今日はMAフェスの会場だろ?」
「うん。」
「ユンサの指定してきたホテルなんて、あのホールの道挟んで目の前じゃねえか。あながち来るって予想してたんだろうな」
「そうなのかな?」
「……だと思うけど。じゃねえと、そんなキチガイみたいな場所取らねえだろ。警備も普通よりは厳しくなってんのに」
「つまり自分の目で俺らが動く所を見たいんだよ、あいつらは。とんだ変態趣味だな」
タバコに火をつける音が聞こえる。
私もタバコ吸いたいな……。やっぱり母になっても、こういう場面では一服して心を落ち着けたくなるものだ。
「20分有れば着くと思う。──インターポールにもアボジにも内緒にするから、それはイルト達にも伝えててくれ」
「わかった。」
「後の都合は俺の方で何とかしとくよ」
「後の都合?なにそれ?」
「まあ、俺がそっち着いたら分かることだわ。」
強引に電話を切られて、スマホの画面を二度見した。
こんな状況下でも尚こういう態度を取るなんて、こいつの神経の図太さといったら……。さすがの帝国DNAと言おうか、何と言おうか。
ミルクティーを一気に喉に流し込んだ時、各自のお父さんと話終わったメンバー達がタイミングを見計らったかの様に部屋に帰ってくる。
「ヒョンは?何て?」
「20分後に来るって。」
「……じゃあ、必要な登場人物は全員揃ったワケだ。」

