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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第14章 信用は危険への階段
「行くぞ~」
相変わらず緩いイヴァンに背中を押され、私はハンソン兄弟の真ん中に入りくるりと彼達に背中を向け、ドアへ向けて歩き出す。
「い……行くのかよ、リサ」
「ヌナ、考え直せよ!!これが……これがどういう意味なのか分かってんのか?!コイツらが誰なのかちゃんと理解してんのか?!」
背中に聞こえる声に挨拶なんてするつもりなかった。
テレビドラマの様に最後まで格好付けたかった。
だけど私はやっぱり母親の前に女性。どこかで格好付けても弱く儚い部分が見え隠れしてしまう。
……一瞬だけ振り返った時に目があったハンサムな六人に『待ってる』と口パクで伝えてから、再度ユンサの顔を見る。
わざとなのか何なのか。
彼は前だけを向き、私の顔さえ見なかった。──まるで過去には何もない、と自分の背中を叩いている様にも見えるな、なんて。