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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第16章 衝撃のヨクサムドン
「ぷっ、さすがにそれは無いでしょ。かのソ連のKGBでもそこまでしないと思うわ。」
テヒョンが、あまりに真面目なトーンでそんな事を言うから少し笑ってしまう。
さすがに……そこまでしないだろう。と心の底から思った。
「なッ、おめえは全く何も分かってない!」
「何よ、急に。」
「あんなあ、俺が何度ユンサとイヴァンにそういう事をする自分の姿を想像したと思う?何度刺しても足りねえって本気でそう思ってたよ。」
「あいつが──あの男に銃弾ぶっ込んだのも今なら気持ちが分かる。」
「……まあ、さすがに暴れる俺を見てイルトは正気に戻ったのか必死に止めてたけどな。でも俺思うんだよ、俺とイルトって多分すげえ似てるんだよな。」
「そうね、それは言えてる。」
「だろ?──だから、信じるとか信じないとかそういう安っぽい話じゃなくてアイツと神宮会を連れて行かせるのは危険だと判断した。」
「まあ……アイツの家柄がもしどこかからバレたらそれもヤバイしな。」
「今は、ユンサの部屋で韓国の特殊部隊が待機してるよ。ボディーガードが捕まったって連絡は無いけど、どうやら事務所らしき部屋の電話がひっきりなしに掛かってきてるらしい。」
「相手が誰かは分からないが……まあ、不審に思った味方の誰かが部屋を覗きに来るのは確実だ。そこを狙って一気にイクことになってるから。」
「わかった。」
「──ここまで金と体力をぶっ込んだんだ、俺もリサも……勿論アボジもFBKの連中もな。」
「一人も溢さずに塀の中に入れるのが当たり前だよ。だからこそ……ユンサを死なせんじゃねえ。」
私は……スゴい人達に愛されて、助けられて、可愛がられて、生きてきたのかもしれない。
この人と結婚して──、この人の子供を生んで、そして何よりもここまでこの人に愛されて……本当にとことん幸せ者だ。
だからこそ、私はユンサの手術が成功することを必死に祈る他ない。