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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第17章 彼なりのケジメ

よく、子供は虐待されてもママを心底嫌いになれないとニュースには書いている。
だからママが謝ると、また殴られることに恐怖を覚えながらも許してしまうし、ママからの愛情を欲してしまう、と。それが切れない血であり、親と子なのだ、と。
今、目の前で泣きながらそんな話をするイヴァンを見て、そのニュースは私の中で信用できるモノとなったことは確実だ。
だって──そんな酷い事をされている、まるで母親失格同然の女のことを心底嫌いには見えないんだもん。
だから『愛されていた』と信じたいのだろう。
知らない間に、もらい泣きしていたのだろう。私の顔をチラリと見たイヴァンが失笑とも取れる表情を浮かべた。
「何だ、同情か?」
「……ま、同情されても当たり前だよな。飯だけ与えておけば生きていけるだろ、なんて犬や猫以下の扱いなんだからな。」
「親が親なら、子も子なんだよ。」
「──同情してる?か。」
「え?」
「そうよ、私はアンタらに同情してる。……もしアンタ達の周りにしっかりした大人が居れば何かが違っていたのかなって」
「アンタらに『品物』として扱われる子供も居なければ、シャブ漬けにされて沈んでいった女の子も居なかったとかな、って。そんな事すら思っちゃう。」

