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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第17章 彼なりのケジメ

「な……何言い出すのよ、突然。」


「そのままの意味だよ。俺のオンマもお前みたいだったら……俺達兄弟の未来は変わってたかもしれないなって」

「オンマはブランドを着れなかったかもしれない、俺達だって親の機嫌一つでグッチやバーバリーの服なんて買って貰うことすらなかったかもしれない」


「でも、それはそれで幸せだっただろうなって。そう思った。」

イヴァンの真っ白な、まるで病人のような頬に涙が伝っていた。

「兄貴から聞いただろ。俺達の親のこと。」


「散々だった、とは思う。俺達の前でシャブ打ってセックスして、親父とも言えないクズはそれを見て泣きわめく俺達をすげえ面白そうに見てたよ」

「オンマは──」


「オンマは──、自分からアイツを求めていたし、アイツが居ない時でさえもシャブを打ってた。まるでそれが当たり前かの様に隠す素振りなんてなく。」


「でも、俺達をアイツはアイツなりに愛していたんだ。だから無理矢理、シャブを打たれることは有っても殴られる事は無かった。」


「機嫌が良い時は百万そのまま裸で持って、色々な所に俺達を連れ回して服を買い与えた。まるで……そうだな、操り人形とかそんなレベルだったのかもしれねえ」


「機嫌の悪い時は、ご飯だけ下の奴達に与えさせて自分は親父とセックス三昧だったよ。シャブ味見したと思えば痙攣起こして、また親父を求めて……な。」

淡々とそんな事を言っているイヴァン。


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