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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第4章 想像以上の実力
あの食堂事件の後、直ぐに心を入れ替えた様に練習すると言い出したジュンを止めて私は財布からダイナースカードのプラチナを取り出した。
「何これ」
「限度額、300万で止めてるから」
「──んっ、どういう意味?」
「私には私なりの"アンタ達の売り方"が有る。」
「……。」
「それ今日だけ貸してあげる。マックスまで使って良いからシャネルとかヴィトンとかハイブランド回って買い物してきて、勿論五人全員で」
練習室には私達六人のみ。
さすがのポーカーフェイスのリーダーもポカンとアホ面をしていた。
「なるべく沢山買うのよ、だから一気に金額跳ね上がる様なバッグ系はNG。高くても20万くらいの服をとりあえず沢山買って紙袋をいっぱい手に持つこと」
「……。」
「変装は眼鏡だけとかマスクだけとかにして。」
「通りすがりの女の子が『あの人格好良い』って思う様に……そしてその流れで顔を見つめた時に『あ!あの人達っ!』ってなる様な格好、分かる?」
「分かるけど、ヌナ。何がしたいの?どうして俺達がハイブランドで買い物するわけ?」
「理由を説明しないと分からない?」
胡坐をかいてる私は誰がどう見ても偉そうだろうな。
しかも、こんな男前五人を目の前にしていかにもダルそうに出来るんだから、やっぱり私はテヒョンしか愛していないんだろう。
──この騒動を絶対に耳にする彼の反応が怖いのは事実だ。
「話題性だろ」
「話題性?」
「練習生で女癖悪いってわかった俺達が、五人そろってハイブランドで買い物して沢山の紙袋を手に持つ。」
「これって女が好きな少女漫画そのものじゃねえか」
「主人公は大体、性格は悪いけど顔はピカイチ。で、何故か親が金持ちとか家がデカイとかそういうプラスアルファーで『金』が絡んでる」
「話題性に関しては抜群だ。」
「練習生であるはずの俺達がサファイアさんとは違ってデビュー前から買い物三昧だぜ、顔も良ければ女癖も悪い。──なっ?女が好きでそこそこの視聴率を取るドラマのストーリーを地でいってるってワケ」
「さすがリーダーじゃん、その通り。だからそのダイナースは私の先行投資」