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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第6章 期待ばかりの日本旅行

時刻は午前5時40分。

昨夜、寝る前に一応日本にいくことを伝えたは良いけど──あとから覚えてないとか聞いてないって言われたら嫌だから置き手紙をしておいた。

日帰りで帰ってくるとは書いたし、空港に着く時間も書い
たけど、電話は死ぬほどかかってくるだろう。


二日酔いで軽く頭がガンガンする事実に気付いていないフリをしながら、服を選ぶのも面倒臭かったので昔テヒョンに買ってもらったコムサのパンツスーツを合わせた。

グレーにピンクのストライプだし季節感的にバッチリだろう。


必要最低限のものだけ詰められたノーブランドの旦那とお揃いのバッグをもって、自宅前で待機するセンチュリーに乗り込む。

「おはようございます、BNの本社まで」

「かしこまりました。」


「テヒョン、今日は何時ですか?」

「九時にはアミューズの役員会議に出席なさるみたいですので、多分八時半には車にお乗りになられるかと」

「多分私のこと聞かれると思うので、その時は行くの嫌そうだったけど仕事だから仕方ないって雰囲気が出てたと伝えて下さいね」


「はは、承知しました。」


この運転手さんとも何だかんだ7年以上の付き合いになる。

車の中で彼と喧嘩したこともあれば、結婚前に私が目の前の事を放り出して日本に帰ろうとした時に乗り込んだこともあるし──この人は、全部知ってるんだろうな。


年齢にすると50代後半だろうか?

年相応の包容力が、私を素直にさせるのかもしれない。


帝国グループは、本当に人に恵まれて人に愛されている。だからこその今回の成長だとも思った。

そんなグループのトップの奥さんになれた私は確実に幸せ者だ。


──まさか、昨日あんな風に愛の告白をされるとも思ってもなかったし。

お陰さまで私は日本に、ワクワクした幸せな気持ちで行ける。多分……テヒョンは年のせいで抜けきれない酒と戦いながら、複雑な気持ちで出社するんだろうけどね。


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