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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第6章 期待ばかりの日本旅行
「…えっ、ちょっと!」
下を向いた時、大きくて長い腕が肩に回されて引き寄せられる。
「ジェジュン何してんだよー」
「……ヒョンが守ってくれると思うけど、何かあったら言ってきて。」
「なに、まだゲーム続いてんの?」
私の嫌味にムカついたのか?それとも図星だったのか?回された腕に力が込められる。
「違うわ。──でも何か力になれることが俺達五人なら有るかもしれないから。」
不器用な優しさがとても可愛い、ふと見上げて笑いかけたその直後、大きな手が私の頭をつかんで、くるりと一回転させ物販の方に向かされた。
「さっさと仕事して下さい、ヌナ」
「イルト……あんたね、強引なのよ。」
「早く帰らなきゃダメなんだろ」
「一応ヌナなんだから、もう少し丁寧に扱ってくれても良いじゃん。」
「ミアネ、ヌナ。」
ああ、なんていう棒読みの謝罪なんだろう。
不貞腐れているイルトの肩に軽くグーパンチをしてから、私は名刺を片手に、数メートル先にいる若い男の子目指してもう一度歩みを進める。
これで成功すれば──
彼達の声がLONDにつくってもらったロックミュージックに上手く乗せれれば──。
FBKもLONDも良い事尽くしだろう。
韓国芸能界にも、ロックというものがもっと身近に感じられる様になるかもしれない。
むしろ、そうなればその旋風を巻き起こしたFBKはある意味伝説になれる。
イルトも言っていた。
確かに……どうなるかなんて分からないけど……やってみるしかないんだ。私は彼達のマネージャーなんだから。