この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第6章 期待ばかりの日本旅行
「うん。こういうのはねメールとかよりも名刺見せてアンタ達見せて、口頭でメリット説明した方が上手くいくのよ。」
「まあ向こうには断る理由がないけど。ほら、一応私に根付いた営業法ってやつ。」
空になったカップをゴミ箱に捨ててから、溢れる人を掻き分けて、もっと熱気のあるホールに向かう。
「……チッ。」
数秒だけ見つめあった見知らぬ男に舌打ちをされた私。
何か驚いた様な顔をしてからの、そんな喧嘩を売る様な行動だから軽く面食らいそうになった。
「どうした。」
「ジェジュン…、いや何もないよ。」
いつの間にか隣に居た背の高い彼に、そう返事をするけど信じてないみたい。
「知り合い?じゃないと、いくらロックライブだとは云え舌打ちはしねーだろ。」
「いや、知り合いじゃないんだよね。足踏んだとかそういう訳でもないし、あたしの事を向こうがテレビとかで見たのかな?」
「むしろ、それなら舌打ちしなくね?」
「──いや、そんな事もないよ。帝国夫人ってことはアタシは韓国籍だもん。そりゃ日本人にも私の事を嫌いな人は沢山居るよ。」
「……国際問題ってこと」
「そう。未だに右翼達が帝国があーだこーだ言ってるのと一緒。日本にもそいうステレオな考えの人が居るからね」
「交わることは一生ないんだろうな。」
「……だと思う。」
歴史問題と愛なんて関係はないのに──やっぱり、どこかで差別や区別といったものが生まれてしまう。
特に日本と韓国なんて、アジアで一番仲が悪い様に思われる国だろう。