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シャネルを着た悪魔 Ⅱ
第7章 記念すべき四月
季節はもう四月。あともう8日で待ち焦がれた『0411』、そうFBKのデビュー日になる。
既に12日には、日本の『ミュージックステーション』の様な番組の生放送が入っているし、それが終わったら『アイドルマスター』というバラエティの撮影。
他にも日本の雑誌『anan』の撮影や、韓国の雑誌撮影……といった風に分刻みで彼達は四月と五月を乗り切らないといけない。
それくらい大手事務所の新人アイドルがデビューする時はハードなスケジュールが組まれるのだ。
「ホームぺージ公開まで後8日だぜ、新しい宣材写真が今日撮影ってヤバイだろ」
「仕方ないでしょ、レコと上への説得が思いのほか時間かかったんだもん」
「ロックベースで、楽曲提供したのが無名の日本のバンド。」
「ジャケット写真やpv撮影の服装もスポンサー関係無視してヌナが用意したとなれば、そりゃパン会長のあの時の顔も納得だよね」
撮影待ちしているジュンはそんな事を言いながらメイク後だというのに、当たり前かの様にストロー無しでミルクティーを飲んでいる。
「まあ……。結局許してくれたのは思いの外、当たると踏まれたからだろうけどね。それもこれも才能の有る五人のお陰様だわ」
「思ってもない事言ってんじゃん」
後ろからキンキンに冷えたウーロン茶の缶を私の頬につけるのは──ジェジュン。
「まあ未だにウザいけどね。あんたらは」
「なんでー?俺達はもうヌナの事ターゲットにしてないじゃん」
「それとこれとは別よ。ノリが軽いし機嫌悪かったらすぐに顔に出るし」
「一緒に上に頭下げたのに、こんな事言われるなんて俺も我儘で強情なヌナをマネージャーに持った事だわ」
「っ……ジュン!あんたねえ!」
かざした手は、大笑いしているイルトによって止められた。
「仲良ししてんじゃねえよ」
「仲良くない!」
「はいはい。」
六人で円になりながら、こうやって話している姿は以前のFBKを知る人からしたら有り得ないと思われているだろう。
その証拠に、こうやって彼達が私に色ではなく懐いている事も、役員に頭を下げた時に一緒になってお願いしてくれたのも──『信じられなかった』とパンさんやその場に同席したサファイアのメンバーが言っていた。