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秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
第2章 運命の悪戯
れきとした独立国でありながら、国王の即位でさえ、元国の承認がなければ正式な王とは認められない。仮にも王弟が元国人に殺されたとなれば、それでなくても高麗国内に鬱積している元への不満が爆発しかねない。今、元と正面衝突し、戦争でも起これば、罪なき民が苦しむことになる。王はそう判断し、弟の死について、涙を呑んで高麗人の仕業であると公表したのだった。
父が亡くなった時、乾はまだその死すら理解するのが難しい四歳という幼さだった。