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第2章 運命の悪戯

　ゆえに、幼い乾の心には元への憎しみが凝り高まっていた。それは年を経るごとに薄い氷が更に硬く厚みを増してゆくように、大きくなりつつあった。もっとも、現国王の甥にして王太子の従弟という立場では、その憎しみはけして表にはできないものだ。







　乾に比べて、王太子賢は生まれながらに王位を約束された恵まれた王子であるといえる。賢の生母は現王の正妃、即ち王妃である。この王妃は現在の元国皇帝の四番目の皇女であった。順帝は英雄色を好むを地でいく皇帝だ。