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秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
第10章 愛縁
あの家の回りにも近くの川原にも木春菊が一杯に咲いていた。川原で摘んだ花を編んで花冠にして被り、二人だけの祝言を挙げたのはついよ月ほど前のことだ。なのに、今、ジュチはこの世の人ではなく、自分は他の男と盛大な嘉礼を挙げて、ジュチではない男の妻となっている。
あの時、木春菊を摘む自分の傍らには、ジュチがいた。いつものように優しい笑顔を浮かべて、賢を愛おしげに見つめていた。大好きだった、優しい男(ひと)。婚礼の夜、まるで壊れ物を扱うように大切に賢の身体に触れてくれた。
あの時、木春菊を摘む自分の傍らには、ジュチがいた。いつものように優しい笑顔を浮かべて、賢を愛おしげに見つめていた。大好きだった、優しい男(ひと)。婚礼の夜、まるで壊れ物を扱うように大切に賢の身体に触れてくれた。