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さらに近くてもっと甘い
第7章 奥様の誕生日


少し汗ばむようになった季節。


有川商事社長は、猫部屋で猫を抱えながら、うーーん…と唸る。



その脇で、学校から出された宿題を床に広げている隼人が懸命に漢字練習帳をなぞる。



「ひかる、何悩んでんのー?」


「いや……」



いつになく言い淀む光瑠を不思議に思った隼人は宿題をする手を止めて立ち上がった。



「ひかるが悩んでんの、珍しいね?」


「……まったくいいのが浮かばない……」


「なんの話?」


「真希が……」



またお姉ちゃんの話か……


と10歳ながら、隼人は呆れた表情を見せる。



「ひかるって、ずっと、マキマキマキマキマキ言ってるよねー」


「そんなことはっ…」



無いとは言えない。



確かに何をしてても頭の中は真希のことでいっぱいなのだが、それが10歳の子供に見破られるほどなのかと思うと、情けなくもある。





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