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さらに近くてもっと甘い
第11章 社内恋愛
自分の資料を落とさないようにゆっくりと床の隅に置いた加奈子、ズーンと落ち込んでいる幸太郎の前にしゃがみ込む。
「いけると思ったんですけどっ……突然肩を叩かれて……いやっ……ごめんなさい、それは言い訳ですっ……」
「大丈夫大丈夫、怒ってないから」
ごにゃごにゃと言葉を続ける幸太郎にそう声を掛けて、加奈子はニコリと笑った。
その表情を見て、幸太郎はキュゥと胸が鳴るのを感じた。
ずり下がっていくメガネ。
加奈子は、それを眺めてゆっくりと手を伸ばす。
「あ、メガネ買ったんだ!」
「っ……いやっ…あのっ…」
すごいずり下がっちゃってるし……
ふふふと笑った加奈子はそのまま幸太郎のメガネの端を掴んで元の位置に戻すと、瞳をゆらゆらとさせている幸太郎の頭を思わず撫でた。
「せっ…先輩っ……!?」
「ほんと…幸太郎くんかわいいね……」
ぽけぇと、蕩けた表情を見せる加奈子の表情に、ドキドキと幸太郎の胸が鳴る。
「ドジにとって、資料はぶちまけるものでしかないよねぇ…」
幸太郎から手を離した加奈子は、今度は床に散らばる資料を見つめる。