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さらに近くてもっと甘い
第11章 社内恋愛
「僕も…いつもいつも週末が待ち遠しいよ」
静かな声音が、耳をくすぐる。
そのまま後ろから優しく抱きすくめられて、加奈子の心臓がトクンと跳ねた。
「……今、鼓動が激しくなった」
「あっ…当たり前ですっ…そんな事言われたら誰だってっ…」
少し怒りながら顔を後ろに向けた加奈子は、余裕そうに微笑む要の表情を見て、はあ…と息を吐いた。
……いつもの流れだ。
副社長の言う事する事に、ただただ心臓が高鳴って止まらなくなって──…
そのまま、流されてしまう。
「どうしたの…?」
「……なんかっ…副社長いつも余裕そうで…っ」
“副社長”──
未だ変わらない呼び名が、実はチクりと要の心を痛ませている。
「…そうかな……?」
「っ…え?あっ……んっ……」
加奈子の顎を掴んだ要は、驚いている加奈子の唇を塞いだ。
そりゃあ意地悪だってしたくなる。でもその子供染みた理由を要は明かさない。