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さらに近くてもっと甘い
第11章 社内恋愛
キッチンで、二つのマグカップを置きながら、要は溜め息を吐いた。
「─────…」
体が勝手に動いてしまった。
それも……くだらない嫉妬で。
加奈子の少し困った表情を思い出せば出すほど、自分の未熟さが露呈されて情けなくなる。
彼女の前ではいつだって完璧でいたい。
こんな子どもじみた感情を悟られてしまったら、きっと彼女は失望する……
下唇を噛んだ要は、ゆっくりと体の力を抜いて落ち着こうと必死だ。
なぜ…こんなにも胸がざわつくのだろう──…
嫉妬なんて、真希を想っていた時だって感じていたはずなのに、何故かその時には経験したことのない、言葉にし難い気持ちが渦を巻いている。
真希さんの時とは違う。
加奈子と僕は付き合っている…のに。
心の中でそう思いながら、要はコーヒーを注ぎ足していた。