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さらに近くてもっと甘い
第12章 メガネデート
「ふくしゃちょお!?!?」
予想外の表示を見て、さらに奇声を上げた加奈子は、両手でスマホをあわあわとさせた後、ようやくしっかりと掴んでボタンに触れた。
「あっあのっ……もしもしっ……」
「………僕だけど…」
「はひっ…お疲れさまですっ…」
「うん……」
いつも通りの優しい声音。
でも、そう言ったっきり何も言葉がなくて、加奈子は不思議に思って首を傾げた。
「あのっ……どうかしました…?」
「………もう家…?」
「あ、今、帰り道で……っ」
「彼も、まだ一緒に……?」
声音が少しだけ変わる。
要は自室のソファーに腰掛けながら、そんな自分に気が付いて、咳払いをした。
「彼……? あ…えと…幸太郎くんですか…?」
「……うん」
「いえ、あの……さっき別れて……」
「そう」
素っ気なくなってしまう言葉。
────────思っている事を伝えればいいだろう
昼間の光瑠の言葉が頭を駆ける。が、やはり言うがやすし、だ。
「あの……? 副社長…?」
「ああ……ごめん。無事に帰ったかな…と思って、ね」