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さらに近くてもっと甘い
第13章 入れ違いに入れ違い
突然目に入った長い黒髪の女性は、その小さな体を屈めてさらに小さくなっている。
申し訳ない───
そう言い掛けた時、彼女が顔を上げたことで、要はあぁ、と声を上げた。
「真希さん!」
「要さん!」
お互いに名前を呼び合ったあと、要は慌てたようにして真希に近付く。
「すみません…っ……お身体大丈夫ですかっ…?」
「あ、大丈夫です。すみません、私が急に飛び出したから……」
そう言いながら大きくなったお腹をさすった真希を見て、要は額の汗を拭った。
危なかった……
注意散漫になっていたせいで、身重の真希さんに怪我をさせるところだった……
「僕のせいです。本当に申し訳ない……」
「いえいえ」
ニコリと微笑んだ真希に要も微笑み返すと、すぐに首を捻って再び真希に声を掛けた。
「どうして真希さんがここへ……?」
「えっ……あ…あの……」
モジモジとしている真希を要は焦ったげに見つめる。
そんな様子を察したからか、真希ははぁ……とため息をついて話を続けた。
「…じ、実は昨日から光瑠さんと話せてなくて……。だからあの…居ても立っても居られなくて、お昼だから少しでもお話し出来たらって…」
「あぁ……」
昨日の真希と光瑠の口喧嘩を思い出しながら、要は緩く微笑んだ。