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さらに近くてもっと甘い
第13章 入れ違いに入れ違い
気分が落ち込んだせいで、顔がうつむきかけていると、うふふと真希が笑ったので思わず要は顔を上げた。
出会った時は、雨に濡れたか弱い少女だった。
目が見えなくなって、想い続けた時もどこか危うくて、傍にいたいと強く願った。
今、真希に対して恋愛感情はない。
それに、今の彼女は無条件とも言える熱い愛を受けているからか、母親になろうとしているからか、かつての弱さはない、と要は思った。
「要さん…」
「はい」
「要さんが子どもだったら、光瑠さんはどうなっちゃうんですか」
「…………」
「要さんは大人ですよ。ちゃんと、みんなのことを考えている、心優しい素敵な人です」
心地よく、胸が鳴る。
生じていた迷いがすーと浄化するような感覚に要は軽く目を見開いた。
「むしろ、大人すぎて加奈子さん不安になっちゃってるかもしれませんよ?」
「………え? 不安、ですか?」
「ええ。さっき私も言ったじゃないですか。もし、光瑠さんが全く嫉妬してくれなくなったら、私寂しいですって」
「つま…り……それは…」