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さらに近くてもっと甘い
第13章 入れ違いに入れ違い


「……………!!!」



驚きすぎて、声が発せない。


どうしようっ……



これって多分─────




「真希さん……?」



付いて来ない私を不審に思った要さんが振り返る。



「要さん………あの……」


「………どうかしました?」




驚いているのに、何故か冷静で不思議な感覚が広がっている。



「あ…の……要さん、この後お忙しいですか?」


「この……後、ですか……?」



ええ、と返事をしながら、足元に広がる小さな水溜りを眺めた。



「病院に連れて行っていただけると嬉しいな……なんて……」



パニックを通り越すと、こんなに言葉がゆっくりになるだなんて、思ってもみなかった。



「病院……? お具合でも…て、あれ、真希さん足元が────」



首を傾げていた要さんは、ハッとした後急いで私に近付いてきた。



「ま、真希さんもしやっ……は、破水なさっ──」


「────みたいです…すみません…」


「あなたという人はっ……!! こんな時に謝っている場合ですかっ……!」




あぁ……


要さん、今までに見たことないほど慌ててる。



そんな呑気なことを思いながら私は、お腹に手を当てた。

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