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さらに近くてもっと甘い
第14章 新しい家族
「まぁその時は、有川商事が潰れないよう、僕が全力を出しますので」
ハッと息を飲んだ光瑠は、我が子を抱えながら真希の方へ向き直った。
「こ、この子は……っ…お、おんっ…」
「……えぇ、女の子…です」
女の子です
女の子です
女の子です
光瑠の頭の中で真希の言葉が何度も響く。
別にどちらの性別であったって悲しくはないし、嬉しいのだが…
女の子だったら、心配する対象が増えて、光瑠みたいなタイプはきっと気がもたないということを、散々周りに言われてきたのだ。
「………っ……………」
自身でも、周りの言わんとしていることが分かる。
真希一人でさえも、かき乱されてしまうこの身だ。
そんな愛する真希との子───…
女なのなら、尚更かわいくないわけがなく……
尚更心配にならない訳がない。
そんな存在が、いずれは恋をして、誰とも分からぬ男を想う日が来るかもしれない…
そして、結婚をして……家を出て…
「だ、ダメだっ……! 馬鹿なことをいうなっ…!」
たった今生まれた赤子の結婚まで想像して、勝手に胸が苦しくなった光瑠は頭を降る。
「……ダメって言ったって………女の子なんですもん…」
「違う!そうじゃないっ……」
勝手な妄想に言いようにならない想いを抱く光瑠を、要は察したように声を出して笑っていた。
また何が起きるやら……
幸せな不安に包まれる、有川家、長女の誕生の日であった。