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さらに近くてもっと甘い
第16章 アイドルの交代



ゆっくりと、扉を開けながら、部屋の中を見渡す。



小さなベッドの脇に置かれた椅子に、人影を感じたけれども、気付いてはいなさそう。



きっと眠っているのかな。



起こさないように、扉をゆっくりと閉めて、忍び足で小さなベッドに近付いた。




「─────────………」





スヤスヤと眠る天使。



かわいいなぁ………



そんなことを思いながら、ベッドの柵の隙間から指を伸ばして、そのほっぺたを優しくツンと突いた。


何度やってもこの感触がたまらない。


さらには、口をにゃむにゃむとさせながら、少しだけ体を動かしている。



その姿に、さらに自分の顔が大きく緩んだ。




「のんちゃーーん」



ひそひそ声で、声を掛けるけども、反応はない。


起こしちゃいけない……けど……


ほんとにかわいいなぁ……


もっと触りたい。



そんなことを思って、思わず、ベッドに身を乗り出して腕を伸ばすと、気配に気付いたのか、のんちゃんはパチっと目を開けて僕のことを見た。



「あ、のんちゃん! おはよう!」



そう声を掛けたのも束の間、目一杯に涙を溜めたのんちゃんは、ぎゃーーーー!!!と大きな声を上げて泣き出した。



「えっ…あっ……ごめん…っ」



どうしていいか分からずに慌てふためく間に、背後でムクッと起きたお姉ちゃんが目を擦ったあとに僕のことを見てすぐそばに寄ってきた。



「隼人……? どうしたの?」


「いや、あのね、ちょっとのんちゃんと遊ぼうと思ってっ…」


「せっかく眠ってたのに……。何かしたの?」



少し怒った口調のお姉ちゃんは、のんちゃんを抱き抱えて体を揺らして宥めていた。


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