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さらに近くてもっと甘い
第16章 アイドルの交代
頭をかきながら、僕はお姉ちゃんを見上げる。
でも、お姉ちゃんは、のんちゃんを泣き止ませるのに夢中で全然僕のことは見ていない。
「ちょっと遊びたかったから……触ろうとしただけだよ?」
「触ったら起きちゃうでしょ!」
「………ごめんなさい…」
悲しくなって、素直に謝るけどもやっぱりお姉ちゃんはこっちを向かない。
ずっと、のんちゃんの顔を覗きながら体を揺らして、「望(のぞみ)〜いい子だから、ね〜?」と言いながらあやしている。
笑っているけど、疲れた顔をしてるのが分かる。
それに、のんちゃんは全然泣き止まない。
何か手伝いたいと思うけど、赤ちゃんなんか相手にしたことがないから、どうしたらいいのかも分からないし、困ってたところで、勢いよく扉が開いた。
姿を現したひかるに、思わず笑顔が溢れる。
きっとちょうど仕事が終わって帰ってきたんだ。
「ひかる! おかえり!」
「真希!どうした!大丈夫か…っ」
「光瑠さん……っ…望が泣き止まなくてっ…」
「………─────────」
ひかるは僕が見えてないとばかりに、お姉ちゃんとそう会話している。
しかも、助けにきたくせに、お姉ちゃんよりも慌てた様子で、お姉ちゃんの周りをぐるぐるしている。