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第1章 過保護な旦那様

副社長との秘密の関係…



まさかみんなの王子である要が、有川商事一番のドジっ子加奈子と恋仲であるなんてことは、周りも気付くはずがない。




意味有り気に加奈子に微笑んだ要は、バレぬように目配せをする。



「えっ……あああぁっ…」



そんなキザな仕草の要に動揺した加奈子は、さきほど落とした物を再び落として、さらにパニックになっている。




クッ……と笑いを抑えながら楽しんでいる要の事を見ながら、酒田もまた少し面白そうに微笑む。




そして、何の気なしに見た時計がもう約束の時間を指そうとしているのを見て、ハッと息を飲んだ。




急がなくてはっ……殺されてしまうっ…




「関根さん！ もうこんな時間です。急がないとっ……」


「ん？ああ…まぁ大丈夫だろう…」


「何言っているんですかっ…」


「どーせ薬指見ながらニヤニヤしているから、機嫌はいいに決まっている…」




呆れたようにいった要の台詞に、酒田はハハ…と笑いを漏らしていた。