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放課後の狩猟者
第2章 # 小夏 [高2]
 狩り当日。
 
 仲秋を過ぎ、学院の赤レンガを伝う蔦の葉も、すっかり色づいていた。


 放課後、部活が終わる時間を狙って、俺はまた例によって宅配業者を装い、正門付近に車を停め、様子を窺っていた。


 バレー部の練習は、いつものように放課後二時間、みっちり行われたようだ。クタクタに疲れきった部員達が正門から出てくる。

「お疲れさまー」

「バイバイー」

「先輩、お疲れさまです!」

「はーい、お疲れー。じゃぁねー」

 しごかれたのか、身体を引き摺っている者、まだまだ気力も体力も有り余っている者、部員達はそれぞれの帰路を歩き出す。


 
「せ~んぱいっ!一緒に帰りましょっ!」

「あ、美樹。ごめん。今日私、寄るとこあるんだ。また明日一緒に。ね?ほんと、ごめん」

「じゃぁ、私も一緒に行くっ!」

「ダーメ。もう遅いから、美樹は早く帰んな?」

「え~!そんなこと言って、他の子のところに行ってたりして…」

「ばーか。変なヤキモチ妬いてんじゃないの!浮気なんてするわけないじゃん。ちょっと参考書買いに行くだけだよ?」

「…だって…この前だって、紫乃ちゃんと一緒にいたでしょ?最近の朝練も紫乃ちゃんとばっかり…。紫乃ちゃん…小夏先輩カッコイイって言ってたし…」

「あれは、紫乃のAクイックのタイミングがちょっと早すぎるから、アドバイスしてただけだよ?」

「…でも…なんか…ヤだったんだもん…」

 美樹は、背の高い小夏を上目使いに見つめると、頬っぺたをプクッと膨らませた。

「フフっ…。でも、そうやって膨れっ面の美樹も、チョー可愛いっ」

「…せんぱい…」

 美樹は目を潤ませて、小夏をじっと熱く見つめた。

 小夏は、美樹の手首を少し強引に掴むと、人気のない場所へ移動した。
 蔦の這う赤レンガの外壁に美樹の背中をを押し付けると、美樹のサラサラのボブヘアを優しく指でかき上げ、そっと唇にキス。

 唇は、それから一旦離れたが、また熱く見つめあい、今度は舌を絡ませて深く、激しくお互いを貪りあった。


 なるほど…そう言う関係なんや。


 美樹を恣意的な目で見つめる小夏。


 こう言う女は、必ず裏の顔があんねん…。
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