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溢れる好きと君へのキス
第3章 ***
目が覚めた。
見慣れない天井に一瞬驚いたが思いだした。
ここ松野さんのおうちだった!
思い出すとかなり失礼なことしか言ってない。迷惑なことしかしていない。
時計を見ると朝6時だ。ここから会社までどれくらいの距離なのか全くわからないが確かタクシーの運転手に大手町と告げていたような…
挙句の果てに、家にまで上がりこんでベッドを占領して寝てしまった…ん!?ベッド!?
昨日の夜中に無理矢理寝室へ呼んでしまった上司の姿が見当たらない。おそるおそる自分が寝ていたベッドの足元も見ると床に座ってベッドに顎だけを乗っけて寝ている松野さんを発見した。
可愛い…と一瞬思ってしまったが今はそれどころじゃない。まだ寝ている松野さんを起こさないように起きなければ。そっと地面に足をつくと右足に激痛が走った。思わず「ひゃ!」と声を出してしまう。昨日階段で挫いたのをすっかり忘れていた。あの後痛み止めを間に合わせで飲んでしまったから気づかないまま一日を過ごしてしまった。薬が切れたころにはもうお酒を飲んでいたので感覚がなかったのかもしれない。
そんなことを思っていると松野さんが起きてしまった。
「…んん…どうした、叫んだりして…おはよ」
こんな時でもちゃんとおはようと言ってくれるところに育ちのよさを感じた。
「おはようございます…ごめんなさい、昨日挫いたの忘れてて…」
「普通忘れるか?」
「忘れないと思います…」
「…よいしょ、待ってろ」