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溢れる好きと君へのキス
第3章 ***
寝室に戻ってきた松野さんはサポーターをとりにいってベッドに腰掛けている私の下にひざまずいた。
「ほら、足。」
「いや!自分でやります!最悪な起こし方しちゃったのに…」
「お前できんの?」
「できますってサポーター巻くくらい!」
「やってみ?」
サポーターなんぞどれくらいしていないだろうか…できた!と松野さんを見るとフフッと笑われた。
「こんなゆるゆるじゃ無理だぞ、お前」
「…もういいです!しません!」
「…ほら、ん?」
首を傾げてニコニコしてくる松野さんはなんだか楽しげだ。私の知っている松野さんの目だった。
「…お願いします…」
「よろしい」
おそるおそる足を出す。冷たい素足に手が触れるのがなんとなくくすぐったい。
「なんかいつもの松野さんですね」
「いつも?」
「いつもストイックで、自分にも周りにも妥協がなくて厳しくって。甘えさせていただく時もなんというかちょっとSだなって思うんです。でも昨日すっごく優しくて、私いつもと違う松野さんたくさん見た気がします。本当にありがとうございました。」
「いつでも俺は優しいだろ?」
「そういうとこ、いつも通りでもはや安心しますよ」
ささっと巻かれたサポーターはさっきとは全然違った。そのまま立ち上がり、寝室から出て行った松野さんについていく。
「とりあえず朝、何食べる?適当なの作るけど」
「えっ!そんなそこまでご迷惑かけられないです!」
「かかってないってば」
「いやかけてますって!」
「…もうこれ以上かかりようがないほどかかってんだからちょっとくらい迷惑増しても大丈夫、気にすんな」
「やっぱりかかってるじゃないですか!コンビニで買っていきます私!」
「…じゃあさ、作ってよ、冷蔵庫なにしてもいいから。」
「…私の作ったご飯食べるんですか!?松野さんが?」
「当たり前だろ、作ってって言ったんだから!」
ちょっと笑うと松野さんはキッチンの冷蔵庫を確認しにいく。変なもん入ってないから大丈夫だぞ、と振り返って私の肩をポンっと叩いた。
「なんでもいいから、時間けっこう余裕あるし。俺昨日の続きちょっとやるからお願い。」