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溢れる好きと君へのキス
第1章 *
AM5:30
こんなに辛いと思う朝が今までにあっただろうか。
本社ビルの前、日本の編集界を束ねる“文葉社”と彫られたモニュメントの下で私はため息をついた。
すっかり裸の木々の寂しさが心の内を代弁し、曇り空がそれをより一層引き立てる。
高校の同窓会で再開した同級生と交際11ヶ月、同棲3ヶ月で破局。
理由は同じように同窓会で出会った女との浮気。その女とシてる写真が今朝、共有のPCに送られてきたのを見つけて彼を叩き起こし、ビンタ5発をくらわせて家から追い出した。