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溢れる好きと君へのキス
第3章 ***
怪しい関係だと疑われたくないので別々に家から出る。松野さんは1本早い電車で先に会社へ向かった。
会社についてからは何事もなかったように、いつもどおり。私はどうやって家に荷物を取りに行くかを考えながら業務をしていた。
仕事は滞りなく進み、腕時計の文字盤の短針は3を指していた。たまにはおやつ食べても許されるよね!と立ち上がるとほぼ同時に立ち上がった仲の良い藍ちゃんと目があう。
「藍ちゃん?」
「ふうちゃん!」
2人はラウンジへ向かい、アイスの自動販売機で各々アイスを選んだ。
「ふうちゃん別れたんだ…」
「そう!でもスッキリしちゃった!今日帰りに荷物取りに行くのがあれだけどね〜」
「そっか…今日はホテル泊まり?」
「そのつもり。友達頼るのも申し訳ないし」
昨日上司の家に上がり込んだことは絶対に言えない。
「藍もおうち泊められなくってごめんね〜」
「藍ちゃんはもう旦那さんに近いもんね、彼氏さん」
「そう、もうすぐ籍いれようってプロポーズされたんだ!7年記念日に!」
「おめでとう!!」
虚しくもなんともないくらい自分が元カレを引きずっていないのがわかる。
今日はあいつ確か飲み会ってカレンダーに書いてあったし夜なら会わないで済みそうだな〜と考えながらゴミを捨て、藍ちゃんとエレベーターを待っていると隣のエレベーターがチン!といった。
「きた?」
「あーでもこれ降りるやつ」
そう言ってすぐにエレベーターから離れたはずだったのに。開いたドアの中の1人と目が合う。
元カレだった。