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溢れる好きと君へのキス
第4章 ****

スマホを切ってから、松野さんはポツリと「ごめん」と漏らした。
「勝手に電話して申し訳ない。どうしたいかも聞かないで勝手に。どうしたいも何も嫌だよな。」
「…いやじゃないです…」
「ん?」
「…連れていってください。おうち。」

ほどけた糸はピンッと張って、私を突き動かす。思いのままに。高まるままに。

ちょっと背伸びをして松野さんの唇にそっと自分の唇を触れさせた。

-

昨日と同じように松野さんのマンションに入る。違うのは私の気持ちだけ。私途中で寄ったスーパーで買ったおでんの具材をキッチンに運んで袋を開ける。松野さんは私のスーツケースの足を拭いて中に運んでくれた。


ここまで終始無言。


自分でも何故キスしてしまったのかわからなくなってきた。松野さんに好きだともなんとも言われていないのに。引かれているだろうし、家に入れたことを後悔しているだろう。



「ご飯作ってくれる?」

急にかけられた声にビクッと身体が震える。

「はっはい!作ります!」
「じゃあお願い。俺いない間に部屋着着替えちゃえよ。」

さすが松野さん!気がきく!と素直に感じられない。私があんなことしたから離れたいんじゃないかとどんどん悪い方に考えてしまう。

いや!今はご飯作らなくては!
短い時間でできるからと買ったおでんセットを鍋に入れて温め、おつまみに、とピーマンと塩昆布をごま油でさっと炒めて小皿に盛る。
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