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キミの体温 ボクの吐息
第3章 り
「男は?」

わざとぞんざいな言い方をして
白石には男がいるとお互いに思い出させた。

「終わっちゃった」

白石は上を向きながら、真っ白い息をわざと吐き出して
星にその息をかけるように息と星を眺めていた。

「そっか」
「昨日家に電話があってね。今日の約束の事かと思ったら
もう待たないでほしいって」
「そっか」

「好きな人が会社で出来たんだって」
「うん」

「私の待ってた時間を返せ~!だよね」
「だな」

泣くのかと思ったその声は
涙が流れていなくてホッとする。

「でも、気がついていたんだ」
「・・・・」

「もうずいぶんすれ違っていたような気がする」
「・・・・」

すれ違っていたとしても、その男を待っていたんだろう?

見たこともない男にこれほどの嫉妬を覚えたのは初めてで
その言葉を口にしないように
俺は再びマルボロに火をつける。

「遅いね」

今日はタクシーが来るのが遅い。
きっと誰もかれもがタクシーに乗っているに違いない。

「花金だからな・・・」
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