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愛しい記憶
第8章 記憶

その音をどうしても沈めたくて、気力だけで玄関に向かう。



何もかも消し去りたい。




そして何もない世界へ



いや、マミだけがいる世界へ…───




「……は…いっ……」



「友也……っ」



予想に反して聞こえてきた男の声に、俺はゆっくりと顔を上げた。




「良かったっ……生きてたんだな……っ」



そういって、ずぶ濡れのカッパを着ている悠人はホッと息をついた。



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