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愛しい記憶
第10章 愛堕(回顧)



「ホントだね……」



まんまとその微笑みに射抜かれて、俺は両手で自分の顔を覆う。



「……もうこっから出て…」



「………なんで」




俺願いとは逆に姉ちゃんは、ペタペタと音を立てながら俺に近付く。




好きで好きでたまらない。




「これ以上姉ちゃんと同じ空間にいたらっ……おかしくなる…っ」



「─────…」



「だから出てってくれ……っ」




その姿を見ていたら、


その声を聞いていたら、



その肌に触れてしまったら、



俺はたちまち狂ってしまう────…



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