この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛しい記憶
第3章 亡霊
見えてはいけないものが見えている。
そのはずなのに、今目の前にいる彼女は、昔見た絵本や映画に出てくる幽霊のような醜い姿ではない。
それどころか美しい…
そんな事まで思ってしまうほど、儚くて胸を締め付けている。
何も言えずに呆然としながら、彼女を見つめていると、彼女は笑いながら静かに涙を流した。
「─────…っ」
その一筋の涙に言いようもないほど目を奪われて、息を詰まらせた。
「はじめまして……」
そう言いながら感極まっている彼女の姿につられているのか、“理由もなく” 自分も感極まっていて苦しい。
なぜ泣いているのだろうか…
理由が知りたい。
目の前に突然現れた彼女は────