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愛しい記憶
第3章 亡霊

ゆるいTシャツとタオル地のショートパンツ。


そこから伸びる長くてスラリとした足。




「おっ、お前っ……」



声が震える。




いつの間に…そして、どこから入ってきたんだ、と言い掛けて、彼女の足の先が透けているのに目を見開いた。




「………それじゃなくて、その下の段ボール」



「っ……あっ、足……っ」



「カーテンはそこ」



首を傾げて微笑んだ彼女は、スー…と音を立てずに俺に近付く。



風邪が酷すぎて、幻覚が見えているのか───




スッと前に出された手の平が俺の顔に近付く。



ちらりと見えた二の腕の裏の…



あれはアザ………?




「はじめまして…」



「─────…」




触れられた頬が、ひんやりとして身動きが取れなくなった。


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