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愛しい記憶
第6章 水
「……そうでもない」
周りの人に不審がられないようにそう答えると、ふーん…とマミが答えた。
「でも、古代エジプト史、やりたかったんでしょ?」
「……まぁ…」
返事をしながら、そうだったのだろうか…と記憶をたぐり寄せる。
マミはきっと、俺の事を全部知っている。
きっと彼女も俺の記憶の一部だ。
全部自分の想像。
そうなのだとしたら、やはり俺は記憶を失くしているのではなく、自ら記憶を仕舞い込んでいるだけ───
そう考えたら、途方も無い虚しさが襲う。