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愛しい記憶
第6章 水
ドクドクと、身体の血が流れる音が聞こえる。
「具合悪いのか…?」
「いや……」
会話とも言えない会話。
言葉を返すことすらままならないまま、辺りを見回して愛しい彼女を探す。
「友也…」
マミ…
もうこれ以上現れないとしたら…──
そんなの耐えられるはずがない。
「お前、ちょっと最近変じゃないか…?」
「大丈夫だよ」
俺は狂っているのだろうか。
ああ、でも…
マミに会えるなら、狂っていた方が幸せなのかもしれない…
「おい…どこ行くんだよ…」
悠人の声に返事をすることなく、俺はやっと着いた大学を背に自宅に向かって走っていた。