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緑に睡る 〜運命の森〜
第1章 告白
翌朝の朝食の席に、青山史郎は時間通りに現れた。
朝食室で先に席に着いていた紳一郎に、伊達男の魅力の満ち溢れた微笑みを送る。
「おはよう、紳一郎くん」
「おはようございます。青山さん」
紳一郎の向かい側の席に座りながら、人懐こい笑みを浮かべる。
「史郎と呼んでくれ、紳一郎くん。私のことを年の離れた友人だと思って欲しいのだ」
紳一郎はやや驚きながらも、その自信と大人の魅力に溢れた笑顔につられるように微笑んで頷いた。
「ありがとうございます。では、史郎さん。おはようございます」
他人と…しかも堂々たる美丈夫な紳士と朝食を摂るなど初めてのことで、どことなく面映ゆい。

ナプキンを広げながら、青山は尋ねた。
「公彦は?もう出かけたのか?」
ブルーのシャツに上質な栗色の細かい格子のジャケットという肩の力が抜けた服装がよく似合う男だ。
父、公彦が常にきちんとした格好をしている男性なので紳一郎には新鮮だった。

「はい。父は昨夜遅くに市ヶ谷に…」
公彦の別宅が市ヶ谷にあるのだ。
そこには数年前に落籍した赤坂の芸者の愛人がいる。
昨夜はその愛人の風邪が治らないのを案じて急遽帰っていったのだ。
「…ああ。公彦のアマンか…。君は…気にしないの?」
紳一郎はポーチドエッグの黄身をフォークの先で突きながら首を振る。
「いいえ。…ご存知でしょうが、父は実の子どもでもない僕をとても可愛がってくれています。母は殆ど家に寄り付きませんし…。
父が他所で安らぎを求めたとしても、誰も責められません」
「君は大人だな。…けれど寂しくはなかったの?公彦も蘭子さんも不在がちで…」

紳一郎の白磁のように白い頬がうっすら紅潮した。
「…少しも…。僕には十市が居ましたから」
青山が艶めいた眼差しを送る。
「昨日会った彼だね?…森番で…君の恋人…」
紳一郎ははっと息を飲む。
「…父に聞かれましたか?」
「ああ。公彦は君のことをとても心配していてね」
「…父には…申し訳ないと思っています。…でも…」
注がれたばかりの熱々の珈琲を啜りながら、青山はさらりと続けた。
「…それでも愛することをやめられない。…それが恋だ」
紳一郎は眼を見張った。
「…青山さん…」
青山は屈託なく笑った。
「史郎と呼んでくれ。…朝食が済んだら学校まで送ってゆこう。愛車が船便で着いたばかりなのだ。足慣らしをさせてくれないか?」






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