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緑に睡る 〜運命の森〜
第1章 告白

青山の運転は巧みだった。
紳一郎を助手席に乗せ、滑らかにハンドルを切る。
最新型のメルセデス…青山は紳一郎が思うより遥かに富豪のようだ。
道を聞くこともなく、迷いもせずに車を走らせる青山に遠慮勝ちに尋ねる。
「…あの…星南学院への行き方はご存じですか?」
サングラスをかけた青山が紳一郎を振り返り、色めいた微笑みを浮かべる。
「知っているよ。…かつての恋人が星南に通っていたからね。よく車で迎えに行ったよ。もう10年以上も昔のことだがね…」
「…そう…ですか…」
紳一郎は一瞬、言葉を詰まらせた。
星南学院は男子校である。
…ということは…とりもなおさず青山は同性愛者だということだろう。
しかもそれをさらりと告白され、紳一郎は思わず動揺してしまったのだ。
そんな紳一郎を青山は可笑しそうに見る。
「…驚いた?」
「…いいえ…」
「私は君と同類だ。…女性には性的魅力を感じない。好きになったり気になるのは男性だけだ」
…君もそうだろう?…と軽く言われたような気がして、紳一郎は思わず眉を顰める。
「…僕は十市が好きなだけです。他の男性に興味はありません。別に同性愛者という訳では…」
ふっと青山が薄く笑う。
むっとした紳一郎は眉を寄せて、つい硬い声を出してしまう。
「何か可笑しいですか?」
「…いいや。可笑しくはないよ。…ただ、十市くんを好きなだけで男に興味はないとは…随分不遜な発言だと思ってね」
「不遜?」
「ああ。不遜だね。いかにも綺麗で清潔なお坊ちゃまが言いそうなセリフだ。自分は同性愛者じゃない。たまたま好きな人が男だっただけ…。貴方みたいな同性愛者なんかと一緒にしないでくれ。…そう言っているみたいだ。」
「そんなこと…言ってません!」
激した紳一郎にちらりと一瞥をくれると、青山は急ハンドルを切り、いきなり路肩に車を停車させた。
紳一郎の身体が前のめりになりそうになり、青山がその身体を座席に押さえつける。
「…青山さん!」
「…史郎だよ、紳一郎くん。…君は、本当に男に興味はない?」
青山の爪の先まで美しく手入れされた大きな手が紳一郎の髪を掻き上げる。
「…十市くん以外の男の身体に…惹かれたことはない?」
男の手が紳一郎の白く滑らかな頬の線から顎へと触れる。
…ぞくりとするような不可思議な感覚が体内から湧き上がる。
紳一郎を助手席に乗せ、滑らかにハンドルを切る。
最新型のメルセデス…青山は紳一郎が思うより遥かに富豪のようだ。
道を聞くこともなく、迷いもせずに車を走らせる青山に遠慮勝ちに尋ねる。
「…あの…星南学院への行き方はご存じですか?」
サングラスをかけた青山が紳一郎を振り返り、色めいた微笑みを浮かべる。
「知っているよ。…かつての恋人が星南に通っていたからね。よく車で迎えに行ったよ。もう10年以上も昔のことだがね…」
「…そう…ですか…」
紳一郎は一瞬、言葉を詰まらせた。
星南学院は男子校である。
…ということは…とりもなおさず青山は同性愛者だということだろう。
しかもそれをさらりと告白され、紳一郎は思わず動揺してしまったのだ。
そんな紳一郎を青山は可笑しそうに見る。
「…驚いた?」
「…いいえ…」
「私は君と同類だ。…女性には性的魅力を感じない。好きになったり気になるのは男性だけだ」
…君もそうだろう?…と軽く言われたような気がして、紳一郎は思わず眉を顰める。
「…僕は十市が好きなだけです。他の男性に興味はありません。別に同性愛者という訳では…」
ふっと青山が薄く笑う。
むっとした紳一郎は眉を寄せて、つい硬い声を出してしまう。
「何か可笑しいですか?」
「…いいや。可笑しくはないよ。…ただ、十市くんを好きなだけで男に興味はないとは…随分不遜な発言だと思ってね」
「不遜?」
「ああ。不遜だね。いかにも綺麗で清潔なお坊ちゃまが言いそうなセリフだ。自分は同性愛者じゃない。たまたま好きな人が男だっただけ…。貴方みたいな同性愛者なんかと一緒にしないでくれ。…そう言っているみたいだ。」
「そんなこと…言ってません!」
激した紳一郎にちらりと一瞥をくれると、青山は急ハンドルを切り、いきなり路肩に車を停車させた。
紳一郎の身体が前のめりになりそうになり、青山がその身体を座席に押さえつける。
「…青山さん!」
「…史郎だよ、紳一郎くん。…君は、本当に男に興味はない?」
青山の爪の先まで美しく手入れされた大きな手が紳一郎の髪を掻き上げる。
「…十市くん以外の男の身体に…惹かれたことはない?」
男の手が紳一郎の白く滑らかな頬の線から顎へと触れる。
…ぞくりとするような不可思議な感覚が体内から湧き上がる。

