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この前、人を拾いました
第38章 ④―8.5 「ずっと前から、お嬢様にお仕えしております」
そんなある日のこと。
「明日、礼二様が引き連れていた女のところへ行くわ。」
麗子様の言葉に目を見開いた。
麗子様は九条院家のお嬢様。
西園寺家の次男礼二様と結婚することは、遠の昔から決まっていること…
だが、麗子様はそのことをあまり口に出さなかった。
そのせいか、私はいつかは麗子様は結婚してしまうという事実から目を背けて暮らしてきた。
「っ………、かしこまりました。」
ついに、この時が来た。
麗子様はとうとう人のものとなってしまう…──
胸が張り裂けそうで、でもそれを麗子様に気付かれまいと、冷静でいるので必死だった。
どうすることもできない。
自分は、そのお嬢様を守るためのただの執事。
そんなこと、私が一番よく分かっていた。